栄養満点!魚のある食事 最近いつ食べましたか?

少しばかり、ここ最近の食卓の様子を思い出してみてください。

魚料理が最後に食卓に並んだのはいつでしたか?
あれ? そういえばしばらく食べてないな…」というご家庭も多いのではないでしょうか。。

このように、「魚離れ」が加速度的に進んでいる昨今。
魚を食べないでいると、子どもたちの成長に必要不可欠な栄養素が、どんどん不足していってしまう…なんてことになりかねません。
その代表的なものが「DHA(ドコサヘキサエン酸)」。
からだがつくられる成長過程にある子どもたちには、必ず摂って欲しい栄養素です。

魚食」が子どもたちの成長にどんな影響を与えるのか…。
今回はそんなお話を取り上げます。

「日本人は魚をよく食べる」 これは過去の話だった!?

海に囲まれている日本は、昔から魚介類をよく食べる国として、世界的にも知られていました。
みなさんも、そういうイメージが色濃く残っているのではないでしょうか。

実際に、比較できるデータが存在する中で消費量がピークだった2001(平成13)年度は、日本では1年間に1人当たり40.2㎏もの魚介類が食されていて、しばらく世界第1位の魚介類消費国でした。
ちなみに、魚のアジ1匹は150g程度。この40.2㎏をアジで換算すると、268匹分! に相当します。
こう考えると、なかなかすごい量ですよね。

しかし、そこからは右肩下がりの一途となります。
2011(平成23)年度に、魚介類の消費量が肉類をはじめて下回り、2021(令和3)年度には23.2㎏(概算値)にまで激減しています(数値はすべて「令和4年度 水産白書」水産庁より)。

子どもの大好物! 肉類の消費量は?

参考までに、肉類の消費量(牛肉、豚肉、鶏肉の合計)の推移について、少しご紹介しましょう。
肉類の消費量は、魚介類を抜いた2011年度から右肩上がりに増加を続け、2021年度には33.8㎏となっています。
これは魚介類に比べ、実に年間10㎏以上も多く食べられている計算になります(数値は農林漁業信用基金広報誌『基金now』2023.5 No.12 p.34より)。

魚が食べられなくなった原因とは

では、魚が食べられなくなったのはどうしてなのでしょうか。
まず、最近の傾向としてよく耳にする「コスパ」(=コストパフォーマンス/費用対効果)、「タイパ」(=タイムパフォーマンス/時間的効果)などにより、食事においても簡易なものが好まれるようになってきたことがあげられるでしょう。

そのほか、以下のようなことも考えられます。

おとなの側の要因
こどもの側の要因

これらのなかに、「思い当たるかも!」ってこと、ありませんでしたか。

魚離れが問題視される理由とは

何とか魚離れを食い止めようと、毎月3~7日を「さかなの日」、さらに11月3~7日を「いいさかなの日」として水産庁が制定し、魚介類の消費を促す活動をしています。
これほどまでに力を入れ、魚食を推進しているのはどうしてなのでしょうか。
それは、魚を食べないことで、以下のような栄養素が不足し、子どもの成長にマイナスの影響を与えかねないからです。

たんぱく質

筋肉、血液、骨、皮膚、髪など、人のからだをつくる重要な栄養素です。
それ以外にも、からだを守る免疫物資の材料となったり、活動するためのエネルギーになったりするなど、人が生きるうえで欠かせないもの。
たんぱく質が不足すると「筋肉が低下する」「疲れやすくなる」「髪や肌のツヤが損なわれる」「免疫力が低下する」などの不調が起こってしまいます。
だから、成長過程にある子どもたちには、不足しないように摂って欲しいものなのです。
魚介類のたんぱく質は、ほかのたんぱく質よりも消化がよく、また、からだの中の余分な塩分を抜いてくれる働きがあるとも言われています。

カルシウム

言わずと知れた、丈夫な骨や歯をつくるために必要な栄養素。
骨粗鬆症予防のためにも、しっかり摂りたいものです。
とくに、歯や骨の形成途中にある子どもたちがカルシウム不足になると、「骨の発育障害が起こる」「身長が伸びにくくなる」「虫歯になりやすい歯になる」などの可能性が高まったりします。
それ以外にもカルシウムは、筋肉を動かす、神経の興奮を抑制するなどの役割も担っています。
魚の内臓部分にはカルシウムの吸収を助けるビタミンDが含まれているので、丸ごと食べられる小魚であれば、より効率のよいカルシウム補給が期待できます。

タウリン

たんぱく質同様、筋肉、肝臓、脳、神経、目など、体内のいろいろな場所に存在し、からだや細胞を正常に保つ役割を担っています。
また、母乳の中にも含まれている栄養素で、新生児の脳や目の網膜の発育などにおいても、欠くことのできないものです。
このタウリンは、魚介類の中でもイカ、タコ、貝類、魚の血合い部分などに多く含まれています。

ビタミン類

エネルギーを生み出す三大栄養素「炭水化物(糖質)」「たんぱく質」「脂質」の働きが円滑に進むよう手助けをする役割があり、健康なからだを維持するために不可欠な栄養素です。 ビタミン類が不足すると、「からだが疲れやすくなる」「集中力が低下する」「貧血になる」「肌荒れする」など、からだのさまざまな箇所に不調が生じてしまいます。 ビタミンというと、野菜や果物を連想しがちかもしれませんが、実は魚介類にも、バランスよく、たくさん含まれているんですよ。

忘れてはならないDHA

魚といえば…、「あれ? 何か足りなくない?」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そうです。魚介類に含まれる栄養素の中で、もうひとつ忘れてはいけない重要なものがあります。

それは、DHAです。

DHAは目の網膜や心筋(心臓)、神経細胞など、もともと人のからだに存在している「脂質」の一種で、母乳にも含まれています。
なかでも、特に多く存在するのが「」。
脳は、その約40%がたんぱく質、約60%が脂質からなるものですが、この脂質の主成分のひとつがDHAなのです。

このように、脳との関係が非常に深いDHAなので、

  • 脳の働きを活性化させる
  • 記憶力」、読解力や読み書きなどの「学習能力」の向上
  • 処理能力」「集中力」「判断力」を高める
  • 社会性などの「精神的な能力」を高める

などの効果が期待されています。

また、脳機能以外にも、

  • からだの免疫反応の調整
  • アレルギー疾患の予防・改善
  • 生活習慣病の予防・改善

などでも注目されており、元気なからだを維持するために必要不可欠なものとなっています。

これらの効果からもおわかりのように、おとなはもちろん、特に脳を含むからだを形成する段階にある子どもにとって、DHAは欠くことのできない栄養素だといわれているのです。

まとめ

これほど重要な役割を担っていながらも、残念なことに体内ではほとんど生み出すことができないDHA。
だからこそ、日々の食事から摂取する必要があるのです。
このDHAは、いわゆる「青魚」といわれるサバ、イワシ、サンマや、脂ののったマグロのトロ、ブリなどに、特に多く含まれています。
これも、魚食をおすすめしたい理由です。

ここ1ヵ月を振り返ってみて、もしも、「1日も魚が食卓にのぼっていなかったなぁ」と思われたら、まずは、月に2日ほどからでも魚食をはじめてみませんか?