赤ちゃんや小さな子どもがすくすくと育つには、おなかがすこやかであることが大事です。
その腸内環境を整え、子どものおなかを守ってくれる食材として人気を集めているのが「オリゴ糖」なのです。
妊婦さんや赤ちゃんの便秘解消にもおすすめで、砂糖よりも低カロリー。優しい甘みを持ち、おなかへの作用も緩やかなのが特徴です。
また、食べ物の消化から栄養の吸収、細菌などからからだを守る機能などの大切な役割を担う「ビフィズス菌」のエサとなり、善玉菌を効果的に増やしてくれたりもします。
この記事では、そんな知っているようで知らない(!?)腸内環境を改善する食材として注目されているオリゴ糖についてご紹介します。
オリゴ糖ってどんなもの?
オリゴ糖は、その名に「糖」という文字が入っているとおり、糖類の一種です。
糖と聞くと、甘くて虫歯になっちゃいそう!というようなイメージが思い浮かぶかもしれません。
しかしそうではなく、実は私たちのからだにとっては欠かすことのできないとても重要な栄養素だったりするのです。
例えば、学習や読書などで頭を働かせ思考しますよね?
毎日の洗濯・炊事・掃除などでからだを動かしますよね?
そういったすべての活動のエネルギー源となるのがこの「糖」なのです。
私たちが生きて行くうえでは必要不可欠だということがお分かりではないでしょうか。
さらにオリゴ糖は、胃や小腸で消化・吸収される「消化性」と、消化・吸収されにくい「難消化性」に分類されます。
今、とくに注目を集めているのは「難消化性」のオリゴ糖です。難消化性のオリゴ糖には、以下のようなものがあります。
フラクトオリゴ糖
- 玉ねぎ、ごぼう、トマト、にんにく、もも、バナナなどに含まれます
- 甘さは、砂糖の30~60%程度
- カロリーは、砂糖の半分程度
- 大腸でビフィズス菌の栄養源になります
大豆オリゴ糖
- 大豆、マメ科の植物などに含まれます
- 甘さは、砂糖の70%強くらい
- カロリーは、砂糖の半分ほど
- 少量でも、腸内の善玉菌の増殖を促進します
ビートオリゴ糖(ラフィノース)
- ビート(甜菜)などに含まれています
- 砂糖の20%ほどのほのかな甘み
- オリゴ糖の中でも、より早くビフィズス菌の栄養源となるものです
- 熱に強く、吸湿性が少ないという性質があります
ガラクトオリゴ糖
- 母乳や牛乳などに含まれます
- 砂糖の20~30%程度の控えめな甘さ
- 腸内環境を整え、たんぱく質の消化・吸収を補う働きがあります
イソマルトオリゴ糖
- 味噌、醤油などの発酵食品や蜂蜜などに含まれます
- 甘さは、砂糖の50%前後
- オリゴ糖の中では、カロリーが高め
- 腸内環境をよりよく整える効果や防腐作用があります ※(注)イソマルトオリゴ糖には、一部が消化性、一部が難消化性という、両方の性質があります
オリゴ糖の由来
「オリゴ(oligo)」とは、ギリシャ語を語源とする言葉で「少数の」「少量の」という意味があります。
さらに糖類は、これらの種類に分類されて…
- 単糖 … 1個の糖でできているもの
- 少糖 … 単糖が2~10個結合したもの
- 多糖 … 単糖がそれ以上結合したもの
オリゴ糖はその中の「少糖」に属するということから、この名がつけられたのです。
「難消化性オリゴ糖」はキレイな腸内環境の強い味方
では一体、なぜこんなにも「難消化性のオリゴ糖」が注目を集めているのでしょうか。
それは、難消化性のオリゴ糖に対し、厚生労働省から「おなかの調子を整える」食品であるとのお墨付きが「特定保健用食品」という形で出されているからです。
「おなかの調子」は、腸内環境が整っているか否か、つまり、腸内に善玉菌が多いか、はたまた悪玉菌が多いかで決まってきます。
このおなかの調子をよくする「善玉菌」を増やすカギのひとつとなるのが、難消化性のオリゴ糖なのです。
難消化性のオリゴ糖は、胃や小腸で消化・吸収されずに大腸に届くことで、腸内にある「ビフィズス菌」「乳酸菌」といった善玉菌のエサとなり、この善玉菌が増える手助けをしてくれるのです。
また、善玉菌が増えると腸内が弱酸性となり、悪玉菌が活動しにくい環境にもなります。
このようなことから、難消化性のオリゴ糖には「腸内環境を整える役割がある」と、広く認知されるようになったのです。
摂りすぎは禁物!適量を守りましょう
ここまで、難消化性のオリゴ糖が腸内環境をよくするためにとても重要な働きを担っているというお話をしてきました。
だったら「たくさん摂ればいいんじゃないの?」と思われた方いらっしゃいませんか?
いいえ、それは残念ながらNGです。難消化性のオリゴ糖は必要以上に摂りすぎると、かえっておなかが張ったり、逆にゆるくなってしまったりすることがあるからです。
便秘でおなかがスッキリしないのは非常にツライものですが、おなかがゆるいのも同様にツライものですよね。
何にしても、同じ食べ物ばかりを大量に食べるのは、からだにいいことではありません。
オリゴ糖も食品ですので、同じことが言えますね。
おとなの場合
使用されているオリゴ糖の種類や製品によっても異なりますが、おとなの1日の摂取目安量は「2~10g」くらいとされています。
慣れるまでは、おなかの調子をみて少量からはじめてみましょう。
また、オリゴ糖は総じて普通の砂糖より優しい甘味です。
はじめは物足りなさを感じるかもしれませんが、カロリーが低いので、その味に慣れていけるといいですね。
子どもの場合
オリゴ糖は母乳に含まれているため、赤ちゃんのうちから口にできます。
最初はおなかの様子をみながら「1g」くらいのほんの少量からはじめるといいでしょう。
「乳児用」「子ども用」と記載のある製品だと、初めて口にする小さな子どもでも安心して食べることができますね。
腸内環境は○○歳までに決まるってホント!?
生まれて間もなくの赤ちゃんの腸内は、善玉菌であるビフィズス菌が優位な腸内環境にあります。
その後、母乳やミルクを飲み、離乳食がはじまり、次第に私たちおとなと同じような食事をとるようになります。
すると「5~6歳」くらいまでには、おとなとほぼ変わらない腸内環境へと変化してしまいます。
子ども時代につくられる腸内環境が、将来にわたり「病気をしにくい」「アレルギーになりにくい」健康なからだをつくるための大きな要因になるとも言われているのです。
子どもの頃から、腸内環境がキレイに整うような食生活を心がけたいものですね。
まとめ
オリゴ糖の種類や腸内環境に与える影響について詳しくご紹介しました。
今はスーパーでも様々な種類のオリゴ糖が並んでいて、実際にお手に取ったこともあるかと思います。
カロリーも甘さも控えめで、砂糖と置き換えるだけでカロリーも低くなります。
砂糖の代わりとしてお料理にはもちろん、ヨーグルトに混ぜたりフルーツにかけたりと手軽に摂れるオリゴ糖。ぜひ、毎日の習慣にしてみませんか。